
あの子に「冴ゆる朝」という名前を贈ったのは、元の名前が「さあちゃん」だったから、そう呼べるような名前をつけてあげたい――という理由だけではない。
2021年1月1日。
僕が埋葬したコリーの女の子、ハナ子。
「冴朝」――「凍てついた朝」という名は、元々は僕がハナ子の最期から受けたイメージだ。
ハナ子は10歳のコリー♀で、一度だけ一緒に散歩に行ったことのある子だった。
足を擦って歩いていたから、お婆ちゃん犬なんだということはすぐわかる。
前日――大晦日の時点で旅立つ準備をしているように見えて、もしかしたら年を越す前に逝ってしまうかなとも思っていた。
そして元日、朝様子を見に行ったら、彼女はもう出発した後だった。
とても寒い朝だった。
コンクリートの地面は凍りついて、繁殖犬達はその上に敷かれた薄い木板の上で丸まって夜を越す。
「♀ライン」と呼ばれていた屋外犬舎の、出入り口の扉を入ってすぐ右が、ハナ子とヴィーナスの部屋。
その隣りが、さあちゃんの部屋だった。
冴ゆる朝に、冷たくなっていたハナ子。
こんな凍てついた朝から、燃えるような暖かな朝へみんなを連れ出してあげたいと心の底から思った。
ハナ子は年を越せただろうか。
それともそっちの景色が魅力的すぎて、早々に旅立ったのだろうか。
僕には知る由もないが――
同じ犬舎に入っている姉妹犬のヴィーナスが、きっと見送ってくれたと思う。
午後になって、彼女を埋葬した。
その日の快晴は今でも憶えている。
「今日は死ぬにはいい日だよ」と言って、送ったから。
まあちゃんは生きているかな。
アグア、ペーター、ラッシュ、それから……。
たくさんのコリーたち。
アサちゃんのように、在るべき犬生を送れず、不本意な戦いを強いられている檻の中の繁殖犬達。
いつか、燃ゆるような朝の陽射しの中で目を覚ませる日が、彼らに訪れますように。
ご家族さま。
アサちゃんに幸せな時間を贈ってくれて本当にありがとうございました。
先日、あのタイミングで遠くからアサちゃんを連れてきていただけたことが、今となっては奇跡のように思えます。
心より感謝申し上げます。
冬の朝が来るたびに、思い出すよ。
きっと今頃は、温かな陽射しの下、元気に駈け回っているんだろうなって。
その草原で、大好きな人達とまた会う日まで――
どうか元気でね。

Until you see your family again…


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