星が流れる空
前庭疾患の影響で首が曲がり、俯いて地面ばかり見ている流星。
抱っこして、澄んだ青空を思う存分見せてあげました。
きっと生きてきた中で、空の広さを知る機会すらなかったかもしれない流星。
倉庫を改造してバリケンを何十個も詰め込んだ犬舎の中で、15年間、ただ昏い天井だけがあの子の空でした。
流星の目はちゃんと見えているでしょうか。
ピンは白内障だし、倉之助も視力ほぼゼロ。
たとえ光を失っても、頭上にはどこまでも広がっている【空】というものがあるのだと知ってほしいです。
いずれ光を失う運命
PRA(進行性網膜萎縮症)という遺伝病があります。
流星やピン、倉之助は老化に伴う視覚障碍ですが、PRAは遺伝病で、生まれつきその変異遺伝子を持っている場合、予防する術はなくほぼ発症し、視力を徐々に失いいずれ盲目となる疾患です。
僕が以前保護したピクシーというミニチュアダックスフント♀が、このPRAアフェクテッドで、一緒に暮らす中でいつの間にか視力を失っていました。
目が見えなくなってゆく恐怖とは如何ばかりでしょうか。
仕事中にちょっと目に薬品が入っただけで怖いのに、少しずつ視力が失われてゆくのを実感しながら生きる恐怖は、とても想像できません。
生きてゆくのなんて【不可能】なのでは? とさえ思ってしまいます。
PRAは、生まれながらにして光を失う運命を背負わせてしまう病です。
いつか世界からこの遺伝病が駆逐されることを願います。
身を焦がす不屈の・・・
しかし全ての盲目の犬達――人間もそうですが――彼等はその【不可能】という恐怖に打ち克ち、戦っているのです。
髙田千明さんというパラアスリートをご存じでしょうか。
僕はSound Horizonの今年の新譜で知りました。
髙田さんは先天性黄斑変性症という病により18歳で全盲になるも、その後始めた陸上競技でパラリンピックに出場する活躍を果たしています。
天野御影というキャラクターのモデルが髙田選手なんですね。
パンフレットにも載っていました。
『太陽を目指して飛べばいい!』――この曲を聴くと勇気をもらえます。
僕ごときが盲目の方々の苦悩を語るなんておこがましいのですが、ピクシーのように光を失った世界でも懸命に燃えた星々を、僕は心の底から尊敬します。
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