唯一つの物語

過去の動画を整理していたら、いくつか気になるものを発掘したのでアップロードしました。

汐うしおの生後数ヶ月の頃の動画がありました。
極秘映像です。
まだ繁殖場で暮らしていた頃――飼い殺しにされていた頃ですね。
障碍のあるシェルティが飼い殺しにされていると相談を受け、様子を見に行った時に撮影したものだったと記憶しています。
当時は汐という名前ではありませんでしたが、似た響きではありました。
石松一家の名前は、みんな元の名前と意味や響きを似せているので、汐も元の名前から少し変えただけです。
しかし、この頃から汐は楽しそうに踊っていますね。
早いうちに保護できてよかった！
里親さんも見つかりますように！

そしてもう一つ。
以前、こちらの記事で話題にしたボーダーコリーの♀の子――クルス。
彼女の死によって、僕は流星りゅうせいを保護しようと決めました。
そんなクルスの動画が、パソコンの奥深くに眠っていました。

記録に残っていたのはこれだけです。

彼女は――彼女達は、繁殖犬達は、いくらでも代えの効くたかが1頭の命でしょうか？
数字でしかなく、商品でしかなく、道具でしかない――そんな命でしょうか？

彼女の名前はクルス。
名前のある唯一ただひとつの命で、この子だけが紡いでいた唯一つの物語でした。
彼女以外の子も、同じように皆それぞれの物語があるはずで、それはただの数字でも記号でもないのです。
機械的に、無機質にこの子達の死を処理するような人間にだけは、僕はなりたくありません。

元気に踊り回る汐。
そして石松家唯一の元伴侶犬・大吉。
ボランティアさんにボール遊びをしてもらい、舎弟の汐に貫録を見せつけた模様。
ボランティアの皆さん、いつもありがとうございます！